遥遥 – はるばる

詩から はじまる絵
絵から はじまる詩
遥々、時間と距離を渡って生まれた
絵と詩の作品集です。

2016年秋、空櫁さんで開かれた企画展『うたうことば展』参加に向けて、小鳩ケンタが「詩に添える絵を描いてほしい」とイケダユーコに依頼したことがはじまりでした。小鳩ケンタはこれまで書きためたいくつかの詩をイケダユーコへ送り、その詩を読んで、あるいはその一節からイメージを膨らませて、イケダユーコは絵を描きました。空櫁さんでの企画展を終えて以降も、作品はポートフォリオとしてイケダユーコとともに鹿児島へ、個展を開いた徳島へと巡っていきます。そうして、はじまりから2年経った2018年秋、イケダユーコが日々描いているいくつかの絵を小鳩ケンタへ送ります。それらの絵に小鳩ケンタが詩を添えました。  

この本は、『うたうことば展』(2016年)での出展作品の一部と、2018年制作の作品を収録しています。遥々、時間と距離を渡って生まれた絵と詩の作品集です。

『遥遥 はるばる』¥1,600 (+ 消費税)
2019年4月20日発行
絵/イケダユーコ  詩/小鳩ケンタ  デザイン/森香菜子(KIGIPRESS)
発行 KIGIPRESS http://kigipress.com

32ページ+表紙
サイズ/148×185×約5mm  製本/無線綴じ・ガンダレ表紙  印刷所/株式会社イニュニック [300部限定]

《訂正とお詫び》
あとがきに誤りがありました。
誤)空樒 → 正)空櫁
訂正しお詫び致します。空櫁様にはご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。


取り扱い店舗

東京 SUNNY BOY BOOKS
長野 栞日 sioribi
京都 恵文社一乗寺店
京都 ふるふる舎
奈良 空櫁
大阪 blackbird books
大阪 iTohen
広島 READAN DEAT
福岡 ナツメ書店
福岡 toori
オンラインストア 雲の生まれるところ
・・・
・・・


出版記念原画展 – 巡回予定

※企画・問い合わせはKIGIPRESSまで

徳島 2019.06.01 – 06.16 会場:SOSU GALLERY…〔詳細〕

奈良 2019.08

福岡 2019.11


イケダユーコ
画家/イラストレーター http://ikedayu-ko.com
1980年広島生まれ。関西で20年間過ごし、現在は鹿児島在住。2004年より作家活動を開始。個展やグループ展をはじめ、雑誌や書籍のイラストレーションの仕事も行っている。
「風のような、空気をのこした作品を届けたいと思い、描いている」
主な個展は、『flow』TAMBOURINE GALLERY(東京・2016年)、『いま、どこ いま、ここ』utanotane(徳島・2018年)など。主な仕事は、NHK出版『すてきにハンドメイド』川上弘美連載ページ挿絵担当(2012年4月~2018年3月)、PARCO出版『ぶどうのなみだ』三島有紀子 挿絵担当(2014年)など。主な本は、『無国』(2009年)、『she see sea.』(2016年)など。

小鳩ケンタ
詩人/コピーライター
1974年生まれ。三重出身、大阪在住。2010年より、関西を中心に活動を開始。書く表現と共に、朗読にも重点を置く。
「絵を描くように書き、音を紡ぐように朗読したいと願っている」
主な展示は、『うたうことば展』空櫁(奈良・2016年)、『みんなとけちゃえばいっしょ』hitoto(大阪・2017年)など。主な朗読会は、『視転』chago(大阪・2018年)、『月ベーと鳩』音凪(大阪・2018年)など。主な本は、『すきよ、ということばを聴いた気がする』(2011年)、『檸檬のピーチ』(2014年)など。


 この本をつくることになったのは、2018年5月にうちの店(utanotane ※2018年5月末閉店)でイケダユーコさんの個展を開催したとき、2016年に小鳩ケンタさんとつくったこの作品たちをポートフォリオとして持ってきてくれてて、それがお客様にも好評だったというのもあるんですよね?

イケダ 2018年の頭に大阪から鹿児島へ引っ越して、荷物を整理してたら偶然この作品たちがぽっと出てきて、2年前のだったけど改めて見てもなんかいいなって思って、それで個展にも持っていくことにしたんです。お客様の反応もよくて、それでこれが本になったらいいなって思ってお願いしました。

 イケダさんから「この作品たちをまとめた本をつくりたい」って聞いたのは個展が終わってしばらくした2018年6月ごろとかだったかなあ。

イケダ 小鳩さんにも本にしていいか確認をしたら、すぐに「いいよ」って言ってくれて。

小鳩 「いいよ」って言ったけど「今?」って思ってました。なかなかの時間差で過去の作品を引っ張り出してきたなあって笑

 そもそもこの作品は、小鳩さんが書いた詩の一部をピックアップして、イケダさんが絵にしたもの。どうやってこの作品は生まれたんですか?

小鳩 奈良の空櫁(そらみつ)さんで、詩人の西尾勝彦さんたちと『うたうことば展』という企画展に誘われて、詩を展示することなったんです。西尾さんはデザイナーさんと組んで詩を展示することになって、じゃあ僕はどうやって展示をしようかと考えて、絵描きさんとすることにしたんです。その候補の一人がイケダユーコさんでした。空櫁さんの会場にも合うだろうし。イケダさんの絵は一般的に「優しい」って言われているけど、接しやすい絵のなかにも、骨のようなものというか、力強さもある気がしていて、急に鋭い感じを描いたりとか。ゆらぎがあるのもいい。以前から仲も良かったし、声を描けてみようかなと。

イケダ 小鳩さんとは10年以上前からの友人。波長が合うのかな? よくわかんないけど、自然と仲が良かったので、いつか小鳩さんとは一緒に何かしたいなとは思ってました。これまでのわたしの作品を見てくれてる人だというのもあるし、絵の相談ができる人。だから信頼もあったし、声を描けてくれたときはすぐに「やりたい」って思えました。

 実際に空櫁さんでの展示する作品をつくるにあたって、小鳩さんがたくさんの詩の束をどさっとイケダさんに渡したって聞いたんですが…笑

小鳩 そうですね。いつも朗読のときに過去に書いた詩の束をまとめたリュックを持っていって、そこからバサバサと瞬間的に詩を選んで朗読していくっていうのをしてるんですけど、その束を丸投げしました笑。本当にぐちゃぐちゃにいろいろ書き込んである紙の束なんですけど、それ渡したらなんにもできなくなるくらいのものなんですけど、イケダさんだったら仲良いしいいかなと思って。

イケダ その束受け取ったときのこと、すごくよく覚えてる。ずっしりするよね。人の、大事な。

小鳩 そこから、詩を全部使わなくてもいいから、イケダさんが好きな詩の好きな部分を抜き出して使っていいよって言って渡したんです。それは詩人としてどうなんだって思うかもしれないけど、僕が普段本を読むときにもそういう風な認識をしていることが多いので。全部好きじゃなくても、この部分が好きとか。この言葉がいいとか、このフレーズが好きとか。それに、僕の詩は優しくないことも書いてることが多いから、そんな詩からイケダさんの鋭いとことか意外性が出たらおもしろいなと思って全部渡したっていうのもあります。

イケダ  全部ひととおり詩を読ませてもらって、長い文章のはパッと入ってこないっていうのもあって、感覚的に言葉やフレーズを抜き出していって絵にしていきました。自由に描かせてもらってすごくやりやすかったです。

小鳩 自分の詩だけど、一部を抜き出してあるのが絵になってるから、今見ると自分でもワッて思う。それは新鮮な気持ちで、嫌なことじゃない。何を選ぶかもその人の表現で、その人と組んだ意味が生まれるのかなと。画家イケダユーコが自分の喜怒哀楽を受け止めてくれた絵だと思っています。

 どういう本にするかを福岡や大阪で合流しながら話し合っていって、小鳩さんの詩をイケダさんが絵にしたから、往復書簡みたいに今度はイケダさんの絵に小鳩さんの詩を添えたものを加えて一冊にしようってなりました。イケダさんはこれまで日々描いていた絵のいくつかを小鳩さんに渡したんですよね?

イケダ 鹿児島で暮らし始めてから描いていた絵をいくつか送りました。

小鳩 むかしは線の表現が多かったイケダさんの絵が、鹿児島に移ってからは面で描くような絵が多くなって、パッと花開いた感じがして、そんないい時期の絵に詩を添えられるのは嬉しいと思いました。あんまり迷わずにすっと詩が書けました。

 イケダさんは日々見たこととか感じたことが絵になることが多いけれど、そういう背景は小鳩さんには伝えなかった?

イケダ 何を描いたとかもまったく伝えずに、絵だけ送って。

小鳩 イケダさんも即興ドローイングが好きだと思うんだけど、誰か相手に影響を受けて、詩を生み出したりするのが僕も好きで。今回イケダさんから届いた絵を見て、イケダさんがその風景に何を込めて描いたのかなってイケダさんになった気持ちで詩を書いたんです。

イケダ だからちょっと女の人の言葉のような詩に!?

小鳩 そう、今気づいたの?笑 

 この本に収録しているイケダさんの絵は、2016年と2018年にそれぞれ描いた時期によってガラリと雰囲気が変わっていて、それも面白いし、2018年秋にイケダさんの絵を受け取って書いた小鳩さんの詩は秋から冬にかけての季節を感じるし、そのときそのときの二人が生み出したものが収まってる感じでいいなと一冊にまとめていて思いました。ちなみに、作品の順番はわたしが決めたんですけど、「恋」からはじまって「愛」で終わってるんです。笑 「恋」や「海」に関する詩も多かったですよね。

小鳩 イケダさんの好みははっきりしているから、僕の詩から選んだものが恋や海のに関するものが多かったですよね。笑

イケダ 出来上がった本読んで、愛があるなあと思いました。

小鳩  こんなスムーズに生まれることって珍しいんじゃない? 出来上がるまで葛藤もなく、阿吽の呼吸というか、あまりにもナチュラルにそれぞれが納得いく形で本という形になって、しみじみ目出度いですよ。

 『はるばる』っていう言葉が見つかったときに、「あ、形になりそう」って思えたんです。言った本人は覚えてないみたいですけど。笑

小鳩 僕が言ったんでしたっけ?笑

イケダ 初めて三人で話し合った日にFacebookのメッセンジャーで小鳩さんが「遥々ありがとうございました」って書いてたんですよ。

森 そしてイケダさんが「はるばる〜いい漢字やね」って返信してて。その二人のやりとりを見て、「遥々(はるばる)だな」って思ったんです。作品が生み出された時間の流れとか、距離を越えてやりとりしていることとか、作品が行ったり来たりしている感じとか…「遥々」がぴったりだなあと思って。イケダさんが最初に「持ち歩ける本にしたい」って言ってたことにも合う言葉だなあと。

イケダ 形にしたいと思っていても何年もかかったり出来ないままのこともたくさんあるのに、一年くらいで出来上がった。utanotaneでの個展の前に小鳩さんとの作品が出てきたのもすごい偶然だったし、本を仕上げているときも森さんから「タイトルを手描きで描いて欲しい」って言われたときがもし次の日だったら…しばらく出かける予定だったから描く時間がとれなくて入稿に間に合わなかっただろうし、すごくタイミングが良いことばかりで。

 イケダさんから「穀雨(2019年4月20日)に発行したい」って聞いて、本当は印刷所のイニュニックさんから進行的にはもうちょっとかかるって言われてたのだけど、進行を少しでも早めてくれて…。穀雨に合わせて納品してくれました。本当にありがたいです。

イケダ 鹿児島、大阪、徳島とそれぞれ遠くから奈良に集まろうと決めていた日(2019年4月21日)に、無事に本が間に合って…。本当に良いタイミングが重なってると思う。

小鳩 生まれるべくして生まれたね。目出度い本です。


遥々と、どこかで暮らす誰かのもとへ、そっと届きますように。