2018.08 – 佐賀 ①

九州に行ってもなかなか立ち寄る機会のなかった佐賀に敢えて行くことにしたのはいくつかのきっかけが重なったから。このタイミングを逃せばいつ行くのか。佐賀に向かう絶好のチャンスだった。

徳島市と佐賀市の人口が似てるだとか、関西や福岡というそれぞれに大都市と近い立地であることとか、街の現状に親近感を個人的に感じていて、知人もいることからいつか行ってみたい街だった。

博多駅で合流したtooriみとまさんとうきは市吉井を巡ったあと、鳥栖駅で別れてひとり佐賀方面のホームへ向かう。

向かった先の5・6番ホームにはちょうど夕食にと思っていた立ち食いうどん店があった。電車を一本遅らせて、「美味しいらしいよ」と話を聞いていた名物の『かしわうどん』を注文した。

長い年月が滲みこんだ厨房には背の曲がったおばあちゃんがひとり。すぐさま出てきたうどんを、甘く煮込まれた“かしわ=鶏肉”と絡ませながらいただく。正直、コシの強いさぬきうどんに慣れ親しんでいる四国の者にとって、この柔らかな麺には拍子抜けしてしまったのだけど、電車の待ち時間にさくっといただくにはこういう軽さがちょうど良いのだと後から気づく。

昭和30年代から続く、九州初の立ち食いうどん店なのだそう。

佐賀に着いた翌日。
「佐賀にはなんにもないよ」と決まってみんなが言うので、佐賀市内を歩き回ろうと思った。散歩は得意だ。知らない街を散歩するだけでもわたしにとっては十分に面白いこと。

暑い暑い真夏日、汗かきながら佐賀市内を歩いた。

まずは腹ごしらえに『東洋軒』(佐賀市水ヶ江)へ。
本来は『味噌ラーメン』が有名なお店。「普通のとんこつスープのラーメンもあっさりして美味しいよ」と言われて悩んだ挙句、その日の体調と気分から“あっさり”というキーワードに惹かれて普通のラーメン(もやし入り)を注文した。
ちょうどお昼時。次から次へと仕事服を着たお客さんが入ってくる。厨房に立つおばちゃんたちは、時々常連さんと小話しながら手際よくラーメンをつくっていく。その様子はまさに地元に愛されているラーメン店といった感じでとても良い雰囲気だった。
とんこつスープのラーメンはしっかりととんこつのコクを持ちつつ後味はあっさり。徳島にあるわたしの好きなラーメン店の味と似ているなあと思ったけれど、明らかにこちらの方がさっぱりといただけた。近所にあったら通いたいなあ。
次は人気の味噌ラーメンも食べてみたい。

街を歩くなら、まずは城から。
佐賀城跡は大きな石垣が残されていて、本丸跡は歴史資料館になっていた。お堀の内側、城内だっただろうエリアには、資料館のほかに佐賀県立美術館と博物館なども。観光としても巡りやすい。

ちょうど博物館で開催されていた『すごいぞ! 佐賀の土木展』を観ることにした。

佐賀の地形によって発展した土木技術を佐賀ゆかりのクリエイターたちの手によって紹介する体験型の展示。最大6mもある有明海の満潮と干潮の差、そしてそれを守るための堤防、広大な佐賀平野で生活するために発展した農業用水・生活用水・水運としての多くのクリーク(水路)…と、ここで知ることができた佐賀の話は、地理好きなわたしにとって大変面白く、ますます散歩欲を上げることになったのだった。

クリーク(水路)の面白さ。
佐賀市内を歩けば水路に当たる。広いものも狭いものも様々に、街に張り巡らされた水路。

佐賀ならではの自然と地形から生まれた知恵の結集なうえに歴史も感じて、このクリーク(水路)のある佐賀の風景がとてお愛おしく感じられた。

なんてことない風景だけど。

 

クリークを辿りながら街を歩き回って、暑さに疲れた頃に立ち寄りたかった喫茶店は臨時休業だった。

 

路地裏が繋がってできたような古い商店街も歩く。
この一角にあるギョウザ屋さんも美味しいらしいけれど、次の機会の楽しみにする。

オランダハウスに立ち寄り、佐嘉神社を参拝し、鳥居横でむくむくと湯気をあげている饅頭屋さんで肉まんを買って、佐賀市内をぐるりと約4時間の散策終了。再び水ヶ江のギャラリーPERHAPSへと戻ってきた。

(つづく)

2018-09-30|タグ:
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