うつくしい本

先月から徳島市昭和町のcue!さんで開催していただいていた古本市、実はひっそりと延期させていただいていて、先週水曜で閉幕となりました。想像以上にたくさんの本が旅立っていったようで、ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

本が売れているとやっぱり嬉しいなあ。

「本」というものにわたしが惹かれる一番大きな理由はそれが「紙」だからだと思う。もちろん言葉も好きだし、知識や思想を得られることも好き。小説はほとんど読まないので本にファンタジーや物語を求めることはあまりないのだけど、そういう良さも知っている。たとえば「物語」というなら、書店に並ぶとりどりの表紙に出会うことからはじまって、フォントや紙に触れ、1ページ1ページとめくる行為をすることが、その一冊と人の「物語」のようだと思ったりもする。

こういう本好きだから、書店ではデザインが素敵なものや装丁が変わったものなどを見つけると、内容に関わらずついつい手にとってしまう。グラフィックデザイナーの仕事をしはじめてからは印刷の加工方法も気になってしまうようになった。表紙をみたり文字を追ったりして目を働かせるだけでなく、指先も忙しい。印刷のでこぼこ、紙のざらざらやつるつる。ページをめくって内容を確かめるフリしながらそんなことも確かめている。(そういえば、本の匂いが好きな人や逆に苦手だという、嗅覚に敏感な人もいますよね)。

そんなわたしが最近とっても感動した本のこと。

高円寺にある古本屋 『えほんやるすばんばんするかいしゃ』さんから発行されたイラストレーター杉本さなえさんの作品集。

装幀はグラフィックデザイナーのサイトヲヒデユキさん。かっこいい紙もの好きにはたまらない素敵な作品をつくられていている憧れの方。2色の墨で描かれる杉本さなえさんのクラシックで静かな世界を、分厚くてふかふかとした柔らかな紙で綴じた印象的な作品集です。ページの端(小口)は切りっぱなしにしたように不揃いで、ページをめくるたびに指にかかる紙の存在感が、作品ひとつひとつとじっくり向き合いたい気持ちを高めてくれます。

杉本さなえさんのイラストレーションもうつくしいうえに、装幀もうつくしい一冊。

素敵な本に出会えて、宝物が増えました。

2019-01-22|タグ: ,
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